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四国路の春はお遍路さんの鈴の音とともに訪れるといわれるように。
切なる願い、ひたむきな祈りを胸にひめ |
弘法大師ゆかりの四国霊場八十八ヶ所をめぐる巡拝は
老若男女をとわず、宗派をこえて、時代をこえて
多くの人びとの篤い信仰心により法灯連綿と続いてきた聖地巡礼の旅。
たとえ一人でも、お大師さんと敬愛される弘法大師と二人連れ
ひろく深い「同行二人」の言葉とお接待の心にささえられながら
阿波・土佐・伊予・讃岐の諸寺をたどる出会いと安らぎの旅。
そして、ひたすら御経を唱え、いちずに御加護を念じながら
あらゆる欲を捨て、煩悩を転じて、想いをかなえる満願成就の旅。

四国霊場全寺の開祖といわれる弘法大師は、宝亀五年(七七四)
讃岐国に生まれ、幼少の頃より天賦の才を発揮し
讃岐の神童とよばれた人なり。
また若くして行者となり、大自然にわけいって、御身一人できびしい修行を重ね
密教の教えをきわめるために遣唐使に随行して唐に赴き
自己のみならず万人を救う方便究寛の世界を開く
わが国初の庶民のための学校である綜塾種智院を設けるなど
偉大なる業績は枚挙にいとまがなく、不世出の聖人なり。
その大師さんの足跡を踏む巡拝の道程は
およそ一四〇〇キロメートルにもおよぶ長途の旅で
あるいは海に近く、あるいは山に深く、あるいは人里のにぎわいにあり。
一番札所から順にめぐるもよし、八十八番札所から逆にめぐるもよし
一国詣また数ヶ寺詣もよし───札はじめは自由なり。
広大な四国を舞台に円を描く遍路道には難所や迷い道も多く
苦あれば楽あり───だからこそ、ありがたい。
路傍の標石などに助けられながら、札所から札所へいたる道も霊場なり。
心はいつしか清められ、四国遍路は不思議な魅力に満ちている。 |


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